※2022年4月1日現在作成された記事です。試験内容、申込期間、受験地、受験料金、ホームページへのリンクなどが異なる場合があります。必ず公式サイトをご確認ください。
1. レベル
仏検のホームページでは、仏検レベルとDELF・DALFレベルを比べる表があります。
次の通りです。
仏検1級はDALF C1-C2とおよそ同じレベル
仏検準1級はDELF B2とおよそ同じレベル
仏検2級はDELF B1とおよそ同じレベル
仏検準2級はDELF A2とおよそ同じレベル
仏検3級はDELF A1とおよそ同じレベル
しかし、フランス語パザパは、この表に参考することはおすすめできません。
何故なら、各試験を比べることはできないからです。
DELF・DALFとTCFは、CEFRに基づき作成された試験なので、同じ基準で受験者を評価しているため、試験レベルはほぼ等しいと言えます。
ただし、DELF・DALFは目指しているレベルを選べるため、難易度が安定しています。
一方、TCFは、A1~C2の6つのレベルを1つの試験で評価するので、受験者のレベル(特に初・中級)によっては解けない問題や理解できない問題があるかもしれません。
フランス語検定(仏検)は独特の評価と基準システムがあり、5級~準2級まではDELF・DALF・TCFとは比較できません。何故かというと、試されている能力が違います。仏検では文法・動詞の活用・語彙が中心であり、DELFでは表現力が中心です。
具体的な例を見ていきましょう。
仏検5級は、DELF A1と同様に現在形の活用しか勉強していない段階です。ただし、仏検4級では、未来形と半過去と複合過去が出題されますし、仏検3級ではさらに接続法と条件法が必要です。要は、仏検3級を合格した方のほうがDELF A1を合格した方よりずっと動詞の活用に遥かに詳しいです。
逆に、仏検5級~3級では「書く」と「話す」の問題はありません。仏検準2級から「話す」の問題が実施されますが、DELF A1よりとても簡単です。DELF A1を合格した方のほうが、「話す」と「書く」の経験があり、日常生活によくある場面で対応できると言えます。
よって、DELF A1と仏検3級は、同レベルとは言えないことになります。
2. メリット
仏検は「単位修得や編入学試験の資格認定の条件、あるいは大学での交換留学に向けた学内選考要件などに広く活用されています」。他に、いくつかの大学では、仏検2級や仏検準1級合格者は、大学入試センター試験のフランス語の2次試験が免除されているそうです。また、「仏検1級合格者は、日本政府観光局(JNTO)が実施する国家資格「通訳案内士」の外国語筆記試験(フランス語)が免除されています」。ただ、あくまで日本国内のことです。そもそも、海外では知名度が低くて、フランス語レベルの証にならない恐れがあります。
逆に、DELF・DALFとTCFはフランス語圏では多くの場面で役立ちます(入学、ビザ手続き、国籍取得)。
※黒い文章はフランス語検定のホームページから引用された文章です。
3. 受けやすさ
仏検の解答用紙と問題文は日本語で書かれており、初級者には受験しやすいでしょう。
一方、DELF・DALFとTCFで使われている用紙は、すべてフランス語です。
4. 受験料
受験料は仏検のほうが圧倒的に安いですね。TCFは仏検やDELFを数回受けるより安そうですが、1回で目指すスコアにならない可能性があるので、2~3回くらい受けなければならないかもしれません。ちなみに、TCFは2年間有効です。
5. 受験地・試験会場
仏検の受験地は、2020年は32都道府県(2019年38都道府県)だったので、DELF・DALF(8都道府県)やTCF(7都道府県)を遥かに超えています。
6. テキスト
仏検対策のテキストは数多くあり、本屋のフランス語コーナーでは沢山置かれています。
しかし、DELF・DALFやTCFは、フランス語専門の本屋やネットでないと手に入らないでしょう。DELF対策テキストのほとんどは、フランス語で書かれています。
日本では、DELF・DALFやTCFの知名度が低く、受験者も少ないため、日本の出版社はこれらのテキストは売れずらいと考えているのかもしれません。
7. 文房具
最後に、些細なことですが、仏検は鉛筆やシャープペンシルを使用するのですが、DELF・DALFとTCFはボールペン(消せない黒か青ペン)を使わなければなりません。消せないので、書く前によく考える必要があるでしょう。