CEFRとは?
ヨーロッパ言語共通参照枠(フランス語でCECR:Cadre Européen Commun de Référence pour les langues、英語でCEFR:Common European Framework Reference for languages、)は欧州評議会が定めた学習レベル、指導、評価の言語共通のガイドラインです。
「CEFR の目的はヨーロッパの言語教育のシラバス、カリキュラムのガイドライン、試験、教科書、等々の向上のために一般的基盤を与えることである。言語学習者が言語をコミュニケーションのために使用するためには何を学ぶ必要があるか、効果的に行動できるようになるためには、どんな知識と技能を身につければよいかを総合的に記述するものである。そこでは言語が置かれている文化的なコンテクストをも記述の対象とする。CEFR はさらに学習者の熟達度のレベルを明示的に記述し、それぞれの学習段階で、また生涯を通して学習進度が測れるように考えてある」。
欧州連合(EU)という巨大な政治経済同盟は27ヶ国が加盟しています。24言語の公用語が共存し、政治、経済、研究などの多分野での協力をうまく行うために、言語の重要性が問われ、共通「基盤」の必要性に迫られました。
そこで、「ヨーロッパのさまざまな教育制度の差が原因となって、現代語の分野で働いている専門家間相互の対話が妨げられている現状の打開を意図している。」「CEFR は、コース授業、シラバス、能力検定の透明化を促進し、そうすることによって現代語の領域で国際的共同作業を前進させようとするものである。言語熟達度を表す客観的基準を提示することにより、さまざまな学習環境の下で与えられている資格の相互認定も容易になるはずである。これはまたヨーロッパ内における人的移動を助長するものであろう」というのは基本の目的です。
フランス語能力試験のDELF・DALFやTCFはこのCEFRに定めた共通参照レベルに基づいた試験です。共通参照レベルは6つあります:A1、A2、B1、B2、C1、C2です。
全体評価は次の通りです。
A1:「具体的な欲求を満足させるための、よく使われる日常的表現と基本的な言い回しは理解し、用いることもできる。自分や他人を紹介することができ、どこに住んでいるか、誰と知り合いか、持ち物などの個人的情報について、質問をしたり、答えたりできる。もし、相手がゆっくり、はっきりと話して、助け船を出してくれるなら簡単なやり取りをすることができる。」
A2:「ごく基本的な個人的情報や家族情報、買い物、近所、仕事など、直接的関係がある領域に関する、よく使われる文や表現が理解できる。簡単で日常的な範囲なら、身近で日常の事柄についての情報交換に応ずることができる。自分の背景や身の回りの状況や、直接的な必要性のある領域の事柄を簡単な言葉で説明できる。」
B1:「仕事、学校、娯楽で普段出会うような身近な話題について、標準的な話し方であれば主要点を理解できる。その言葉が話されている地域を旅行しているときに起こりそうな、たいていの事態に対処することができる。身近で個人的にも関心のある話題について、単純な方法で結びつけられた、脈絡のあるテクストを作ることができる。経験、出来事、夢、希望、野心を説明し、意見や計画の理由、説明を短く述べることができる。」
B2:「自分の専門分野の技術的な議論も含めて、抽象的かつ具体的な話題の複雑なテクストの主要な内容を理解できる。お互いに緊張しないで母語話者とやり取りができるくらい流暢かつ自然である。かなり広汎な範囲の話題について、明確で詳細なテクストを作ることができ、さまざまな選択肢について長所や短所を示しながら自己の視点を説明できる。」
C1:「いろいろな種類の高度な内容のかなり長いテクストを理解することができ、含意を把握できる。言葉を探しているという印象を与えずに、流暢に、また自然に自己表現ができる。社会的、学問的、職業上の目的に応じた、柔軟な、しかも効果的な言葉遣いができる。複雑な話題について明確で、しっかりとした構成の、詳細なテクストを作ることができる。その際テクストを構成する字句や接続表現、結束表現の用法をマスターしていることがうかがえる。」
C2:「聞いたり、読んだりしたほぼ全てのものを容易に理解することができる。いろいろな話し言葉や書き言葉から得た情報をまとめ、根拠も論点も一貫した方法で再構成できる。自然に、流暢かつ正確に自己表現ができ、非常に複雑な状況でも細かい意味の違い、区別を表現できる。」
例えば、DELF A1に合格された方、あるいはTCFに100~199点数を獲得した方は上記のことができると見なされます。
このCEFRは、ヨーロッパだけでなく、世界中に普及しつつあります。
日本でも、近年、文部科学省がCEFRを扱おうとしていますが、あくまでも英語教育の話です。
本屋で、CEFRに関する書籍をいくつか目にすることがありますが、中には「国際標準CEFR」という題名のものもありました。
※黒い文章は「外国語教育Ⅱ 外国語の学習、教授、評価のためのヨーロッパ共通参照枠 Common European Framework of Reference for Languages: Learning, teaching, assessment」(2014年、吉島茂 , 大橋理枝、ISBN 978-4255002934)から引用された文章です。
279頁に渡る小難しいガイドラインですが、読んでみたい方はこちらです。